感想日記

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殲琴・ダウルダブラ/tomorrow2015/09/30 


sgcs
今日は久しぶりにシンフォギアの話をします。

ということで今回レビューするのは「戦姫絶唱シンフォギア」シリーズが毎回出してくれるキャラソンCDシリーズから、
3期であるシンフォギアGXのボスキャラこと「キャロル・マールス・ディーンハイム」の歌う「tomorrow」です。

シンフォギアのキャラソンは基本的に1曲目が戦闘時に装者の歌う歌、
2曲目がそのキャラの内面を歌ったものとなっていて(ビッキーのCDとか例外はありますが)、
今回は特にキャロルの2曲目「tomorrow」が素晴らしすぎたのでレビューする次第。

 

さて、この歌の何がいいのかと言うと、
まず結論から言ってしまえば「この歌がシンフォギアGXの第0話である」こと。
この歌はキャロルが父と生きた数百年前から、シンフォギアGX本編を経て最終話のあの結末にたどり着くまでの歌なのです。

 

これを最終話が放映された翌週に発売する販売スケジュールには舌を巻くわ。
このタイミング以外のどこで聞いても、単独で感想を書こうと思うほどには心に響かなかったと思う。

 

アニメ本編では意外にもキャロルの心情は語られておらず、
言葉の端々から、殺された父の遺言に従い世界を知ること、
ひいては世界を分解して理解すること(錬金術の理屈。ハガレンでよく言っていた「理解」「分解」「再構築」のアレね)が目的と察せられます。
最終話では父を奪った世界への復讐心もあると言ってしまいましたが。

劇中見ていればわかりますが、本編のキャロルは既に若干狂っていて、正常な会話はほとんど出来ていません。
ではその一方で、本心では何を考えていたのか。
それが語られるのが「tomorrow」です。

 

Lala…Rurila… 飽きず見上げていた
古いランタンに 照らされた面立ち

冒頭は幼いキャロルの視点。父イザークと二人過ごしていた頃のことで、本編でもちらっと描写されていました。
あの頃のキャロルはいかにもCV水瀬いのりという感じの無垢な少女でした。

それが

 

明日には灰となる 想い出を
今日だけは抱いて…抱きしめて

急転直下すぎる…。
明日には灰となる、はイザークが焚刑に処されることと、
キャロルが思い出の燃焼を火力に戦っていることを示しているのでしょう。

アニメを見ているだけだと、そんなよくわからん思い出なんてもので70億の絶唱越えとかどうなの、と思うのですが、
この先の歌詞が「思い出を燃やすこと」の重さを感じさせます。

 

Lala…Rurila… 人の形をした
コクリと頷く「寂しさ」のマリオネット

これは聞いてその通りオートスコアラーのことですね。
劇中ではオートスコアラーがいつ製造されたのかは不明でしたが、父を殺された幼い少女が一人で生きて寂しくないはずもなし。
キャロルとオートスコアラーの会話はもうちょっと見ていたかった…。

 

Elf…Nein 要らない正義の力‐Tarot‐
毒の針飲み込ませ 想い出と共に逃げゆけ

この曲のキモの部分です。
Elf Neinとは言わずもがなエルフナインのこと。毒の針とはダインスレイフのことでしょう。
そしてこの「想い出と共に逃げゆけ」という歌詞!
これはそのまま今のキャロルがもう自分が間違っているのを自覚していることを表し、
かつ自分の間違ってなかった部分をエルフナインに託したということなわけですね多分。
勝手に解釈してますがそう間違ってもいないでしょう。

エルフナインがレイアに追われつつも捕まらなかったのはSONGにダインスレイフを届けるためですが、
そこに一匙の感情が込められているのがもう。
泣ける。

 

救いを求め願った自分が
醜く汚くて 血で血を洗い狂えと

歌詞でも明確に「狂っている」自分を自覚し始めています。

 

終焉への追走曲‐カノン‐が 鳴り渡るその時に
忘れるパパの名を

劇中「パパ」としか呼んでなかったし、娘は父親を普通名前では呼ばないので気付けないようになっていましたが、
キャロルは既に愛した父の名前さえも忘れているという…。

この辺を踏まえてみると、終盤のキャロルの「もうどうでもよくなってきた…」という自暴自棄な態度が、
計画が失敗したから、ではなく「なぜ計画を遂行しようとしていたのか、もう忘れてしまったから」と見えるようになります。

 

るLuリRぁ…RゥるRiラ… 言葉が果てる
記憶がバラバラと 音を立てて崩れ逝く
るLuリRぁ…嗚呼ルルRゥるRiラ…
パパは?Neえ?パPa ハ?
「わたし」ヲ褒メテクレルカナ
抱キシメテ クレRuカna 教Eテ?

この曲のもっともゾッとする部分、曲の最後なのですが、
キャロルは既に言葉もわからなくなっており、歌詞の表記が支離滅裂になってきています。

父の残した言葉の本来の意味とか、そういうことはもう全部忘れてしまっているという切なすぎる終曲。
これが「想い出の燃焼」の末路というわけです。

更に言うと、ここでこの歌は終わってしまうんですよ!
燃やして、燃え尽きてしまっておしまい。
最後に一言何かつぶやく、とかそういうあざとい描写一切ナシ!
このままぐずぐずと燃え尽きるしか無いのが、聴いてる人たちは本編を見てわかっているというのがまた突き刺さります。

歌の中でどんどん壊れていくキャロルの心情に合わせて、曲も畳み掛けるようにピークを迎えていきます。
ぜひ周囲の雑音を遠ざけて一人静かに聴いてみてください。

 

ということで「tomorrow」でした。

シンフォギアGXはこのキャロルの歌を最後まで聞いて初めて完結するといって良い。
ラスボスの心の動きが本編の外で明かされるというのはどうかとちょっと思いましたが、
こういう形で届けられたことで響くやり方もあると思うし、響いちゃったのでもうしょうがないよね。

今回は特に、ギア歌かっこよかったなーと思って買ったら不意打ちでこれが来たのが大きい。
ノックアウトでした。

これを聴いてから13話を見返すと、本編の見え方が全く変わって見えてくると思います。
聴いてるだけでももうキャロルに感情移入しすぎてヤバい。
もうパパの名前さえ覚えてないのに幻想に父を垣間見た時のキャロルの心情やいかに。

想い出を逃がしたからこそ、最後空っぽになったキャロルがエルフナインを取り込むことで、
あるべき当時のキャロルに近い状態のエルフナインが生まれるというのがまた皮肉で良いですよね…。

 

世界レベルで大量に人を殺す結果となった魔法少女事変ですが、
そういうことしでかした子でも好きになっていいんだからフィクションってのは幸せだね。

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