感想日記

9/25 サイトデザインの調整中

東京レイヴンズ1 SHAMAN*CLAN2016/01/10 


現代に生きる陰陽師の戦い

tokyo_ravens_1
今回紹介するのは、ちょっと前にアニメがやっていたライトノベル作品「東京レイヴンズ」です。
ちょっと前って書いたけど調べたらアニメやってたの2013年の秋だ…もうそんな前なの…。

 

概要
さて、東京レイヴンズ(以下「東レ」)とは表題のとおり、陰陽師の物語です。
「東京」とタイトルにあるとおり、舞台は現代の東京…なのですが、1巻はプロローグ的な話で、舞台は片田舎の街。
2巻からは東京が舞台になります。

陰陽師ということで、幽霊とか妖怪の跋扈する和風ファンタジーを想像する人も多いと思いますが、本作では陰陽術ががっちり体系付けられて研究されており、科学が支配する現代に学問・技術として組み込まれています。
ラノベの異能バトルというと、社会の影で異能を持った人たちがこっそり戦う作品が多いですが、東レの陰陽術は現代社会のいち側面を担っており、世間にも陰陽師の存在が認知されているのが特徴。
陰陽術、ひいては作中登場する異能というものを(作品の都合に合わせて演出はしてあるものの)ちゃんと考察・体系化してあり、しっかりと地に足の着いたこの世界観は、他のラノベでは中々見ることが出来ません。
作者がベテランだけあって、面倒であろう「異能技術」の「社会的存在感」をちゃんと描いているのは見事。
まぁその辺のメイン描写はやはり2巻以降になるのですが。

 

作風としてはコメディがありつつも、少年漫画的なバトルとドラマがメイン軸。
アニメばっか見てるとラノベ=ちょっとエロいハーレムものばかりな印象になりますが、本作はむしろジャンプやマガジンでやっててもおかしくないような、友情・努力・勝利のバトルものです。
富士見ファンタジア文庫ってこういう少年漫画を小説に落とし込んだ古式ゆかしいラノベが多い気がする。
前述のとおりベテランだけあって文章のクセも少なく、誰が読んでも大体同じくらい楽しめる安定感のある作品です。

 

Wikipediaにも書かれていますが作者がスロースターターだそうで、話が盛り上がってくるのは3巻くらいから。
1巻はとくに、前述のとおりシリーズのプロローグ的なエピソードとなっており、単体で見ると話がわからないところも出てくるかも。
全巻読破して、種々の事情やキーワードの意味がわかってから読み返すとすっごい面白いです。

 

ちなみに「レイヴン(烏)」とは劇中、陰陽師が身にまとう狩衣が烏の羽のように黒いことから。
つまり東京を駆け抜ける陰陽師たちのことを示しています。

 

あらすじ
陰陽道の名家「土御門」家の分家に生まれたものの、陰陽師としての才能がなかった主人公「土御門春虎」は平凡な高校生として友人たちと過ごしていたものの、ある日突然陰陽師による呪術犯罪に巻き込まれる。
犯人である「大蓮寺鈴鹿」は禁呪として指定された死者をよみがえらせる「泰山府君祭」に土御門家の人間が必要と見て、土御門家宗家の長子「土御門夏目」を狙う。
夏目は春虎とは違い、幼い頃から陰陽師としての才能を発揮しており、その関係で才能のない春虎とは疎遠になっていた。
奇しくも陰陽術関連で再び夏目と再会した春虎は、鈴鹿を止めるために、そしてその過程で失った親友のために陰陽の道へと踏み込んでいく。

 

以下、登場人物。画像はアニメから。

harutora
土御門春虎。本作の主人公。
陰陽道の名家の分家筋として生まれるも、才能が全くないため平凡な高校生として育った。
親は陰陽術を使った医者をしており、この業界に全く関わりがないわけではない。
ものすごくバカだがコミュニケーション能力に関しては劇中屈指を誇り、並みいるめんどくさい人たちを持ち前の明るさで落としてきた。

 

natsume
土御門夏目。本作のヒロイン。
春虎とは遠縁の親戚にして幼馴染。
土御門家の宗家長子として、幼い頃から陰陽術とともに育ったエリート。才能もバッチリある。
普通に女の子だが、1巻ラストでいきなり男装少女属性を獲得、ニッチなヒロインルートをひた走る変わり種。
短編エピソードでは生真面目な皮がぼろぼろ剥がれ、ホモ妄想の餌食になったりソシャゲで身を崩したり春虎をストーキングしたりと大活躍。
何より陰陽術を使ってこっそり好きな人(春虎だけど)を観察するという、サイコ一歩手前の習慣を持つ。

 

toji
阿刀冬児。春虎の悪友。
かつて霊的災害に巻き込まれて霊障を負った少年。陰陽医を務める春虎の父親に命を救われ、以降春虎とつるむようになる。
冷笑家だが相応にクールで頭の回転は早く、喧嘩慣れもしていてトラブル好きと悪友属性てんこ盛り。
1巻ではバトルに一切絡まないのに充分な存在感を魅せつける美味しいポジション。
ヘアバンドは決してハゲ隠しではない。これもちゃんと理由があって3巻で明らかになります。

 

hokuto
北斗。春虎の悪友。
名前以外一切不明の謎の少女。CV金元寿子とオトコオンナ属性のマッチングが凄まじく脳が蕩けそうになる。
春虎との微妙な距離感が甘酸っぱい。
1巻以降出番がないが、短編に一つメイン話がある。

 

suzuka
大蓮寺鈴鹿。十二神将。
歴代最年少で国家資格「陰陽Ⅰ種」を取得した天才。しかしその才能と技術の裏側には薄暗いものが…。
1巻では春虎と対立する敵キャラとしての出番がメインだが、4巻で再登場して以降は敗北必死のヒロインレースに参加してこれまた可哀想。
アニメで話題になった「チンコ」発言は原作にはない。

 

面白い点
何と言っても王道なストーリーラインと、ちょっと聞き馴染みはあるけど詳しく語れるほど詳しくはないくらいには知っている陰陽術という組み合わせ。
春虎は夏目や、戦いの中で素顔を知った鈴鹿のために奮闘する、ちょっと抜けているけど人のために熱心になれる好漢です。その辺もちょっと往年のライトノベルって感じ。
春虎を支える悪友の冬児は、これまた理想的な悪友キャラで、1巻では情報収集や春虎いじりがメインですが、この先には男の熱い友情を見せるエピソードも登場します。

 

バトルも漫然と戦うのではなく、そこに「陰陽術」という仕組みが存在していることで、文章を追うだけでも流れが汲み取りやすくなっています。
呪符を使った呪術戦では、五行による相剋・相生や式神の生成、古来より家に伝わる呪具、そして神を呼ぶ儀式など、和風ファンタジー全開です。
そこに現代的エッセンスとして「ロボットを使った式神」が登場したり。
異能バトルといえば異能バトルなのですが、横文字のほとんど登場しない和風バトルはそれだけで新鮮です。

 

そして個人的に何より評価したいのが、これも前述しましたが、陰陽師=異能の存在を現代社会の制度に組み込んでいること。
本作の日本には「陰陽庁」という陰陽術に関するものを管理する官公庁が登場します。
つまりただ認知されているだけでなく、国家に所属し、公共のために働く存在としての陰陽師が存在するのです。

 

ここからちょっとキーワード解説的になりますが、陰陽庁には
「祓魔局(自然発生する霊的な災害を感知して未然に防ぐ・あるいは発生した災害を解消する組織)」や
「呪捜部(呪術犯罪捜査部。呪術による犯罪行為を取り締まる、陰陽師相手専門の警察組織)」などがあり、それぞれ劇中に関わってきます。
1巻で話に絡んでくるのは呪捜部くらいで、しかもすぐやられちゃいますが…。

 

他にも現代的な要素は色々とあって、例えば陰陽術を現代で使うには国家資格を取得する必要があったりします。
特に「陰陽Ⅰ種」は難関とされており、資格取得者は「十二神将」とあだ名されメディアに露出する人も登場。

 

そうなるともちろん、非合法に陰陽術を使う悪党も登場します。
そういう奴は呪術犯罪捜査部が追跡・逮捕したりします。

 

こういう異能が国家に組み込まれる構造をきちんと設定して、描写して、物語に組み込んで…というのをちゃんとやってくれるのは中々に珍しいですよね。
総じて「陰陽術」という設定を「現代で使う」ために必要なものをきちんと揃えてやっている、というのが本作最大のポイントでしょう。

 

難点
やはりキーワードが多いところでしょう。
特に漢字複数文字のキーワードが多数登場することから、初見だとかなり目が滑ります。初めて読む人に「事前に予習しといて」というのも無茶苦茶ですし。
そういう意味では既にアニメ化されている、というのは大きな強みではありますね。

まとめ
ということで東京レイヴンズ1巻の感想でした。
1巻の、というかほとんど作品そのものの感想ですが。

2巻以降、舞台が陰陽塾に移って学園異能バトルファンタジーというわかりやすい形式に移行します。
新しい仲間に出会ったり、陰陽師によるテロ組織が登場したりと話が少しずつ膨らんでいきます。
3巻まで読めば作品のノリというか、方向性が大体つかめると思うので、ぜひ一度読んでみてください。

更新履歴
カテゴリ一覧